エアアジアとマレーシア航空の間で互いに株式を持ち合う協定が取消された

昨年(2111年)8月発表された、マレーシア航空とAirAsiaの株式をスワップするというそれぞれの持ち株会社間での合意は、当時大いに話題を呼びました。一方この協定(合意)に対してマレーシア航空の複数に分かれた労働組合が強く反対しているニュースがまもなく現れました。

反対論の中には、マレーシアが最近施行した独占を禁止する法の観点から、両社のいわば提携はこの法律に接触する恐れがあるというものがありました。独占禁止分野を管轄する機関は調査にかかっていたとのことです。

それとは別に株式市場やアナリスト筋には株スワップ協定に懐疑的な見方をする人たちがいることも報じられました。どんな企業提携・合同・合併に関しても批判や反対論が起きるので、これ自体はなんら不思議なことではありません。

そして5月初めにこの問題に関して最終的な決断が下されました。マレーシア航空株の大半を所有する、持ち株会社である Khazanah Nasional Bhd は国つまり政府直属の投資機関です。Khazanah Nasionalは国策に従っていろんな企業の株を所有したり、出資しています。
このことから、両社間の株スワップ協定を取消す判断は、恐らく政府トップ層から指示があったことだろうと推測できます(いうまでもなく、こういう内実は機密扱いでしょう)。

それでは両社間の株スワップ協定の解消を伝えるニュースを掲載します。

【AirAsia とマレーシア航空のそれぞれの持ち株会社間での株スワップ協定が正式に取消された】 -2012年5月3日の記事

(2011年8月マレーシア航空とAirAsia のそれぞれの持ち株会社間で株スワップの合意が結ばれて大きな話題になりました。マレーシア航空株の大半を所有する国の投資機関 Khazanah Nasional Bhd がマレーシア航空株の20% をAirAsia の持ち株会社に売る、一方 AirAsia の持ち株会社である Tune Air Sdn Bhdは AirAsia株の10% を Khazanah Nasional Bhd に売るというものです。これに対してマレーシア航空の労働組合を筆頭に強い反対が続いていました。)

マレーシア航空の持ち株会社でもある Khazanah Nasional Bhd は5月2日の声明の中で、AirAsia の持ち株会社である Tune Air Sdn Bhd との両航空会社株スワップ協定を解消することを正式に発表しました。これにともなって、(昨年からマレーシア航空取締役会に参加していた)AirAsia グループの最高経営責任者と副最高経営責任者の2人はマレーシア航空取締役を直ちに辞任しました。

しかしながら、マレーシア航空とAirAsia は(世界の航空業界の競争激化をにらんで)コスト削減を進めるためにいくつかの分野で協力を続けていきます。

両航空会社間で昨年8月結んだ協力協定そのものは変更を加えて存続していくことになりました。両社は5月2日補足契約を結びました。それによって両社は航空機メンテナンスと修理サービスを行うための合弁会社を設立します。さらに両社は調達用に特化した特別組織も設立することになります。他に乗務員の訓練面でも両社は引き続き協力していく予定です。

この調達用に特化した組織の株式構成は、マレーシア航空が 50%、AirAsia が 35%、AirAsia X が15% を持つことになります。この組織が、燃料、マーケティング、保険、航空部品、コミュニケーション、情報技術、地上取り扱いの分野で仕入れ・調達を行います。
変更された協定では、マレーシア航空とAirAsia はそれぞれ他方が専門とする航空分野へ進出することもかまわないという内容になっています。
マレーシア航空株と AirAsia 株は5月2日は取引が停止されました、その前日の終値はそれぞれ RM1.22 と RM3.33 でした。

AirAsia の最高経営責任者は語る、「(協定の解消は残念だが)AirAsia は今や Khazanah Nasional Bhd とマレーシア航空に近しい関係になった。これで我々(トップ経営陣)のエネルギーを全てアセアンとアジアの素晴らしい成長可能性を活用していくことに集中できることは良い点です。」

【 Intraasia のひとこと 】
マレーシア航空は、2011年末の2011年度決算でRM 25億の巨大な赤字を記録しました、そしてこれから購入する航空機の資金手当てとしてRM 50億が必要になります。

株スワップ取り消しによって、もともと財政状況は良いし乗客の伸び率も高いAirAsia 側は大して影響を受けないが、マレーシア航空は財政状況の悪さと再生の方向性が固まっていないことから前途は厳しい、と見る向きが市場・アナリスト筋では多いというような報道があります。両社の株価を見ても市場の一般的な評価がよく現れていますね。

AirAsiaグループトップ経営者はマレーシア航空の経営にもう関わることはないが、両航空会社間の協力関係は続く、しかし両航空会社間での路線と乗客を巡る競争は再開されるかもしれない、と理解できます。 


このような結果に至る中で、今年3月と4月にマレーシアマスコミに現れた両航空会社間での株スワップ協定に関する記事の中から2つをここに載せておきます。(古い順です)

【マレーシア航空とAirAsia 間での持ち株スワップ合意に反対を続けるマレーシア航空労組】-2012年3月16日の記事

(昨年8月突然発表されたAirAsia の持ち株会社とマレーシア航空の持ち株会社つまり国の投資機関、の間で両航空会社持ち株を一部スワップする協定に関して、マレーシア航空労働組合は反対活動をしています)
この反対活動の一環として、マレーシア航空労働組合は覚え書きを国会議員に来週配布するとしています。労組はすでにナジブ首相らに送っています。

我々は与野党の国会議員にこの問題に関する進行状況を知らせたい。この問題を政治的なものにはしたくない。現在マレーシア航空で何が起こっているかを皆に知ってもらいたいのです。」 と労組委員長。 「持ち株の一部スワップはAirAsia側により有利になる、労組はこの合意を廃棄するよう要求する。」

一方運輸大臣は、省は両社合意に関して変更の報告は何ら受け取っていないと語りました。


【マレーシア航空とAirAsia のそれぞれの持ち株会社間での株スワップ協定に根強い反対が続く】 -2012年4月25日の記事

(昨年8月マレーシア航空とAirAsia のそれぞれの持ち株会社間で株スワップの協定が結ばれて大きな話題になりました。マレーシア航空株の大半を所有する国の投資機関 Khazanah Nasional Bhd がマレーシア航空株の20%をAirAsia の持ち株会社に売る、一方AirAsia の持ち株会社はAirAsia株の10%を Khazanah Nasional Bhd に売るというものです。これに対してマレーシア航空の労働組合を筆頭に強い反対が続いています、さらに独占禁止法に反するのではという見方もあります)

ある報道によれば、1万9千人を組織するマレーシア航空労働組合からの強い批判が続いていることから、政府は真剣な再考をしているとのことです。
ある業界アナリストは、株スワップ協定を覆すような決定がなされても驚くことにはならないだろうと、述べる。「重要なことは、株スワップが取消されてもそれは協力がなくなるということではないということです、両航空会社が双方ともに有益となる協力協定を結べないという理由はない。そうなれば両航空会社は費用節約もできる」

先日、マレーシア航空従業員組合がナジブ首相に面会して、持ち株会社間での株スワップに伴う全面的な協力関係に反対を訴えたという報道がありました。株スワップはマレーシア航空従業員の士気に悪影響を与えるとも書いています。

仮に、持ち株会社間での株スワップの協定が廃止されれば、独占禁止法違反の疑いもなくなります。(いわゆる独占禁止委員会である)マレーシア競争委員会のこの件に関する調査はまだ進行中です。委員会の議長は、「この件で発表は何もできません。調査中です」 と述べるのみです。

アナリストの主張:アセアン自由航空協定は2015年に実施に移されます、これはアセアン10カ国の主要都市間で本数無制限のフライトを許すことになり、競争が一層増します。これを前提にすれば、マレーシア航空とAirAsia間の協力関係は非常に重要です。

これとは別に、マレーシア航空は昨年発表した東南アジアのプレミアム航空会社を目指すという計画を、その後突然引っ込めたことは業界を驚かせました。


別のエアアジア関連ニュースから

【AirAsia とビジネス合意を結んだTune グループの会社 】 -2012年4月22日の記事

AirAsia Bhd はエアアジア乗客への保険商品の提供及びTune Ins の株式を購入する権利に関連して、 Tune Ins Holdings Sdn Bhd と Tune Money Sdn Bhd の2社と販売とコールオプション合意を締結しました。
同社がクアラルンプール証券取引所(Bursa Malaysia)に発表した内容では、保険商品提供の見積り額は10年間でRM 4300万ほどになります。
販売合意では、Tune Ins はAirAsia Bhd の代理として保険ビジネスの運営を引き受けます。

Tune Money はエアアジアグループ最高経営責任者と副最高経営責任者が直接且つ間接に多数株を保有している会社です。

またエアアジアグループ最高経営責任者と副最高経営責任者が AirAsia Bhd に直接且つ間接に持つ株式は、4月20日時点においてそれぞれ13.18% と 13.12% になります。

(Intraasia 注:上場企業 AirAsia は例えていえば、ある種 Google みたいな会社です、つまり上記2人の創業者が経営のトップとしてその方向性を素早く決定していく。上記の持ち株比率に注目してください。Tune Money もTune Talk もいわばAirAsia トップの個人会社である Tuneグループ会社の翼下にある。同じTune グループに属するであろう Tune Ins Holdings Sdn Bhd がAirAsia の旅行保険を扱うということなんでしょう。)




【当ブログを初めてご覧になられた方々へ】

日本にお住まいのエアアジアを初めて利用する/利用するつもりの方、エアアジアをまだ利用したことがないが興味あるという方は、まず当ブログの 2012年1月2日付け記事 『日本人利用者/利用希望者が誤解している、知らない、気づかないエアアジア(AirAsia)のほんと』 をご覧ください。
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マレーシア情報を1996年以来発信し続けている Intraasia のエアアジア専門ブログへようこそ! (2010年10月ブログ開始)
AirAsia が初飛行を開始した2002年以来、Intraasia はAirAsiaを観察し利用しています。

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