エアアジアグループの企業情報から、その2-2011年度決算とイントラアジアの解説

AirAsia サイトの表紙メニューにある Corporate (企業)の中に Investor relations (投資者関連)という項目があります。そこには、発表された決算報告及び最高経営責任者の要旨説明が載っています。
そこで今回は、それから主要部分を抜き出し翻訳したものを載せます。もちろんイントラアジアの解説も加えましたよ。

このブログを書く際に参照しているのは、エアアジア (AirAsia)ホームページの基準サイトであるマレーシア英語ページです(日本語ページは一切参照及び関知はしません)。他の言語ページはほとんどすべて基準サイトを訳すことで製作されているはずだからです。そこで当ブログでは単語や表現はイントラアジアが適切だと考える訳語と訳文を使用しています。
当ブログは、東南アジアを基盤とする AirAsia 及び AirAsia X を日本人利用者のために正確で分かりやすく詳細に案内し、解説するための専門ブログです。
そのため、成田空港をハブにして2012年秋に一番機を飛ばす計画という、合弁会社エアアジア・ジャパンは全く対象にしていません。


【エアアジアグループの2011年度決算報告内容】

2011年度決算(2011年12月31日締め)
航空会社マレーシア AirAsiaタイ AirAsiaインドネシア AirAsia
項目金額対前年比金額対前年比金額対前年比
収入RM 44億7千万13%増THB158億7千万33%増IDR3兆7千億34%増
営業利益RM 11億9900万12%増THB19億4300万5%増IDR1496億53%減
純利益RM 8億8千万18%増THB19億800万14%増IDR949億61%減
預金等現金残高RM 20億2千万34%増THB12億1100万105%増IDR321億20%減
乗客1人当たり
の付随サービス
収入
RM 452%増THB 38329%増IDR136,65011%増
乗客数1800万人12%増690万人20%増500万人28%増
純ギアリング
レシオ
1.43倍、 前年は1.74倍でした

注:付随サービス料は、機内飲食代、座席選び料、預け手荷物料、航空貨物代から成る。
通貨記号の意味は RM:マレーシアリンギット、 THB:タイバーツ、 IDR::インドネシアルピア

【エアアジアグループ最高経営責任者の要旨説明部分】

エアアジアグループの最高経営責任者は、営業利益が対前年比12%、核となる純収入が対前年比18% それぞれ増えたことに満足感を表明して語る、「航空燃料が高騰するような良くない環境の下でこの結果は注目に値します。平均航空燃料費がこの1年間で36%も上昇した。全コストの半分を燃料費のコストが占めるが、我々の弾力性のあるビジネスモデル、コスト管理に力を注いだこと、効率的な運営によって、金利・税金・償却前利益、支払利息・税金・減価償却・償却控除前利益で高率を維持し、及び金利税引前利益でも高率を維持することができました。」

AirAsia の2011年度決算では、金利・税金・償却前利益、支払利息・税金・減価償却・償却控除前利益の利益率で41%、金利税引前利益の利益率で27%を記録しました。

コストを Km 及び利用できる座席数で割って得られる(CASKと呼ばれる)コストは12.56セントだったとのことです。この値は対前年比で 6%増えています。しかし燃料費を除いた(CASKと呼ばれる)コストでは、5.99セントでした。これは対前年比 13%減という注目に値する数字です。

エアアジアグループの最高経営責任者の発言をさらに引用します:
「税引き後利益の減少は第一に換算上の未実現外国為替損のためです。これは会計基準において報告が義務付けられている。年間決算が示すように、AirAsia Bhd は適正な道を進んでいます。」 

「AirAsia Bhdは借り入れを米ドルで行うが決算報告はリンギットで表示している。このような会社の利益性は核となる純利益の段階で判断されるべきです。我が社の場合、それは対前年比で18%の伸びでした。」

「AirAsia は我々の目標である座席利用率80%を達成した。今のところこういった決算結果は我々の期待を上回るものであり、そこで我が社の株主たちに、2011年は普通株1株当たり3セントの初配当支払いで報いました。AirAsia はAirbus 社に A320 NEOを200機という歴史的な確定注文をしました。これは大きな成長の可能性に沿ったものであり、東南アジアで最大の発注です。」

「AirAsia Bhd は2011年末時点で、ギアリング比率(自己資本に対する他人資本の比率)は1.43倍であり、現金残高は健全なレベルであるRM 20億です。2011年我々は資本投資と路線拡張を適切に行いました、これはプラスのキャッシュフローが示しているとおりです。」

「付随サービス収入はAirAsia がさらに成長していくために引き続き原動力です。」

今後の展望
エアアジアグループの最高経営責任者は次のように説明する:
「2012年は 新しいA320 Classic を20機受領します。その内の17機はAirbus社に確定注文した分です。この20機分(を購入するため)の金融はすでに十分になされていること及びAirAsia 自前の訓練センターの設立は我々の大きな拡大計画にプラスに貢献することになります。」

「AirAsiaグループは1万人を超えるスタッフを擁しており、インターネット世界には膨大な数の利用者がいます。また航空機の注文は2026年まで確定しています。」

【Intraasiaの分析とコメント】

AirAsia Bhd はエアアジアグループの本体であり、クアラルンプール証券取引所(Bursa Malaysia という名称)の上場企業です。Thai AirAsia と Indonesia AirAsia はAirAsia Bhd の系列会社という位置づけです。

まず2011年にエアアジアグループ3社の乗客数が2990万人に、つまりほぼ3千万人に達したことで、その驚異的な成長にあらためて驚き、積極的な拡大路線を賞賛したくなります。10年前の2002年初め頃にAirAsia がフライトを開始した当時を知る者として、これは正直な思いです。

これだけ成長し拡大したエアアジアグループは、もはや2000年代前半のAirAsia ではありません。もちろん歌い文句の低コストで格安な航空会社であることは同じですが、加えて差異化を推進し多様さを持った航空会社でもある、というように会社の性格が変化しました。

これはエアアジアの急速な成長と拡大に伴って自ずと変化せざるを得なかったことであり、同時に急速な成長と拡大を続けていくためにはこの道しかないであろうと捉えることもできます。

注:ここ数年のエアアジアしか知らずにあれこれ論じている人たち(雑誌、書籍を含めて)の論点にこのことが抜けて落ちていることを指摘しておきます。

具体的にどういうことかをいくつか例をあげて説明しましょう。現在のエアアジアはそのサービス項目がかなり多種に増え、差異化を進めています。:

・座席選びという名の座席指定料を徴収する仕組みを設けた:Hot seatという限定数の座席を特定し(典型的な差異化)且つ一般(スタンダード)座席も事前の座席指定ができるようにした。座席指定料はかなりの付随収入になっていることでしょう。
ほとんどの読者の方は2000年代前半のAirAsiaをご存知ないですから、座席指定は当たり前のことかもしれませんが、当時は全席自由座席でした。もし好みの座席に座りたければ早く列に並びなさいという方式でした。

・機内食メニューを大幅に増やした:機内飲食の有料サービスは低コスト航空会社(LCC)における普通のあり方のようですね。そこで AirAsia はよりメニューを増やす(多様化する)ことで飲食販売高を上げる戦略に出たということです。複数路線でのエアアジア機内で観察していると、機内食を購入する人の多さを感じます。まさに飲食サービス増強戦略の成功といえます。

・機内預け荷物の重さ段階を増やし且つ最大重量を引き上げた:荷物を機内預けする人が実に多い、というより(イントラアジアのように)荷物を預けない人はごく少数です。この状況を利用して、エアアジアは重さをより多段階化し、最大重量も40kgに引き上げた。これも付随サービス収入の増収に直結していることでしょう。

・AirAsia X だけに設けている、ビジネスクラスである Premium Flat Bed席:ビジネスクラスはいうまでもなく典型的な差異化サービスです。格安航空にPremium Flat Bed座席のような高級座席を設けること自体がある意味では矛盾です。しかし経営観点からは高級座席の設置は必須のサービス項目となります、それは収入効率が良いからです。格安航空が多様化する流れの下で、中長距離路線におけるビジネスクラスの設置は自然なあり方かもしれませんね。

・LCCターミナルなどごく限定された数の空港だけで今年3月ごろから導入したレッドカーペットチェックインサービス:これは典型的な差異化サービスです。イントラアジアが空港でしばらく眺めていた限り、このサービスを利用している人を見かけませんでした。どれくらいの割合が利用しているのだろう? 

・ 最近LCCターミナルなど限られた空港だけに設けたプレミアム待合室:これは Premium Flat Bed座席の延長線といえそうです。いうまでもなく典型的な差異化サービスです。

結論的に言いますと、AirAsia は現在のエアアジア利用者の圧倒的大多数が持っている”利便性志向”と”差異化嗜好”を上手に刺激する戦略を取り入れており、これが付随サービスの増加と多様化につながっています。それを証明するのは、決算報告において AirAsia 3社とも付随サービス収入が伸び、内2社が2桁の伸びを達成したことです。
AirAsiaグループCEOがいみじくも述べています:「付随サービス収入はAirAsia がさらに成長していくために引き続き原動力です。」

「2011年AirAsia は我々の目標である座席利用率80%を達成した」とあります。この場合のAirAsia は文脈からグループ全体を指しているように取れますが、確実にはわかりません。座席利用率(座席充足率)が80%というのは、満席に近い便がかなりあることだと経験上推定されます。確かにガラガラに空いているというような便はかなり少なくなったのではないでしょうか。まあ乗客としてはできるだけ空いてる方がいいですけどね(笑)。
エアアジアは路線の新設と廃止が頻繁なので、不採算路線はそれほど月日が経たないうちに減便または廃止となってしまいます。イントラアジアが気に入っていたインドネシアのマナド路線が1年足らずで廃止されたのはその一例です。

マレーシア航空との取引の結果だろうと言われているのが、既に発表された AirAsia X のヨーロッパ路線とインド路線の廃止決定です。さらに最近ニュージーランド路線も廃止を決めました。その一方ドル箱路線になるであろうというシドニー路線を開始し、東京路線を増便しました。

このようにエアアジアのビジネス戦略は大胆であり、そして迅速な決定を見ます。一方時に利用者軽視も起きます。
好調な2011年決算結果と引き続く積極的な拡大路線を考えれば、今後もエアアジアの動向に注目が集まることは間違いないでしょう。

【タイエアアジアの新規株式公開の予定】 

Thai AirAsia はタイの会社 Asia Aviation Coが 51%、(エアアジア本体である)AirAsia Bhd が 49%を保有する株主構成です。Asia Aviation Co は2006年にShin Corp からThai AirAsia 株を取得しました。 Thai AirAsia は2004年1月に運行を開始した当時、 (タクシン元首相系の)Shin Corp と AirAsia 創業者兼最高経営責任者による合弁企業として発足しました。その後2006年にシンガポールの政府投資機関である Temasek がShin Corp を買収したことで、Thai AirAsia はタイ航空会社としての必要条件であるタイ資本51%がなくなってしまうので、共同オーナーとしてのタイ側オーナーの変更が必須となりました。そこでAsia Aviation Co が株式を取得しました。

消息筋によれば、Thai AirAsia は今年7月にもバンコクで新規株式公開を計画しており、 50億バーツ(約RM 5億)の株式総額になる期待とのことです。Thai AirAsia の新規上場は昨年後半にも計画されていましたが、タイの洪水騒ぎで延期されていました。

アナリスト間での一般的見方では、Thai AirAsia が上場することは AirAsia 本体の2012年度決算における系列会社としての貢献要因にまだ考えていないないというものです。 Thai AirAsiaは2010年第2四半期から営業黒字となっていますが、投資したAirAsia Bhd にとっては、それまでThai AirAsia が累積した赤字額のためにまだ差し引きゼロにはなっていません。 AirAsia Bhd はThai AirAsia に関して未認識損失額がRM 3000万あり、この額がなくなった後で Thai AirAsia株からの利益が AirAsia Bhd の決算において収入に貢献することになります。
以上は3月中旬のマレーシアの新聞記事から




【当ブログを初めてご覧になられた方々へ】

日本にお住まいのエアアジアを初めて利用する/利用するつもりの方、エアアジアをまだ利用したことがないが興味あるという方は、まず当ブログの 2012年1月2日付け記事 『日本人利用者/利用希望者が誤解している、知らない、気づかないエアアジア(AirAsia)のほんと』 をご覧ください。
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マレーシア情報を1996年以来発信し続けている Intraasia のエアアジア専門ブログへようこそ! (2010年10月ブログ開始)
AirAsia が初飛行を開始した2002年以来、Intraasia はAirAsiaを観察し利用しています。

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