AirAsia X グループ 3社の企業情報と2015年の計画
系列会社(子会社)としてタイに Thai AirAsia Co., Ltd、 インドネシアに PT Indonesia AirAsia Extra (通称としてIndonesia AirAsia X) がある。AirAsia X グループという時は、この3社を意味する。
Intraasia注:厳密な定義ではないが一般的意味として、Berhad (短縮形 Bhd、ブルハットと発音)とはマレーシアの上場企業であることを示す。なお"Kuala Lumpur" という単語はもはや証券所名には使われていません。
このブログを書く際に参照しているのは、エアアジア (AirAsia)ホームページの基準サイトであるマレーシア英語ページです。日本語ページは一切参照及び関知はしません。他の言語ページはほとんどすべて基準サイトを訳すことで製作されているはずだからです。
そこで当ブログでは単語や表現はイントラアジアが適切だと考える訳語と訳文を使用しています。
当ブログは、東南アジアを基盤とする AirAsia 及び AirAsia X を日本人利用者のために正確で分かりやすく詳細に案内し、解説するための専門ブログです。
そのため、 AirAsia が日本で設立した/する合弁会社エアアジア・ジャパン及びそのフライトに関しては過去と現在と将来に渡って全く扱う対象にしていませんし、関知するところではありません。
当ブログで AirAsia X と書く場合は、特に区別が必要な場合を除いて、 AirAsia Xグループの系列会社であるタイ AirAsia X とインドネシア AirAsia X を含みます。 さらに航空会社としてのさまざまな規定や特徴は AirAsia グループと AirAsia Xグループを通じてほとんど全て同じです。従って例外的な場合のみ注記します。
以下は AirAsia X に関する財務情報ページから抜粋したものに解説を加えました。
【AirAsia X Berhad の2014年(1年間)の主要な運航統計】
注:2015年3月中旬時点では、本発表前の仮発表となっている
項目 | 2014年 | 2013年 | 変化率 |
輸送乗客数 (人) | 4,230,952 | 3,161,456 | 33.8% |
座席総数 | 5,150,574 | 3,860,480 | 33.4% |
座席稼働率 | 82.0% | 82.1% | -0.1% |
有効座席キロ数 ASK | 253億7400万 | 193億900万 | 31.4% |
有償旅客キロ数 RPK | 208億1700万 | 158億5700万 | 31.3% |
飛行したフライト総数 | 13,662 | 10,240 | 33.4% |
フライトの平均飛行距離(km) | 4,927 | 5,002 | -1.5% |
保有機数 (予備機を含む) | 26 | 19 | 7増 |
【用語の定義】
- 座席総数:実際に飛行した航空機に備わっている座席総数
- 輸送乗客数:利用者に販売された座席数でありノーショー(購入したが乗らなかった人)を含む。さらにプロモーション目的で提供した座席数も含まれる。
- 座席稼働率:座席利用率。 有償旅客キロ数 RPKを有効座席キロ数:ASKで除したもの。
- 有効座席キロ数:ASK (Available Seat Kilometers)、飛行の際利用できる座席の総数にその飛行Km数を掛けたもの
- 有償旅客キロ数:RPK (Revenue Passenger Kilometers)、運賃を支払った乗客数にその乗客が飛行したKm数を掛けたもの
AirAsia X グループの2014年度決算結果は税引き前損失がRM 6億500万であり、そして税引き後損失では RM 5億1900万です。
売上高は RM2,939 29億3900万、対前年比 27.3%増となる。
Thai AirAsia X は丸1年間ではなく初飛行以後9か月間の業績となる。2014年第4四半期の座席利用率 84%はかなり良い数字だ。
なお Indonesia AirAsia X は2014年はまだ運航を始めていない。
付随収入(Ancillary revenue) について
AirAsia グループは企業戦略として、 AirAsia 各社及び AirAsia X 各社で付随サービス(add-on) による収入を増加させることに非常に力を入れている。
AirAsia X グループの2014年年間付随収入額は RM 5億8481万、これを輸送乗客数で除した利用者1人あたりの付随収入額(Ancillary revenue) : RM 138
付随サービス(add-on) とは、AirAsia 旅行保険、預け荷物料金、機内食代、座席指定料などのことです。
【2015年の業績改善計画の例 -抜粋】
Intraasia 注:特にことわりがない限り AirAsia X グループに共通してと捉えることができる
・機内 WiFi サービスを提供する。これはより多くのビジネス客を獲得できることにもつながる。
Intraasia注:機内 WiFi は現在まだ限定された Malaysia AirAsia便だけで提供されている。AirAsia X における具体的なサービス開始時期の言明は書いてありません。
『AirAsia フライトでの roKKi Wi-Fiサービスに関する説明と問答』 をご覧ください。
・ AirAsia X グループの路線を利用したフライスルーできる行き先をさらに増やす。例えば、 Malaysia AirAsia の利用者はフライスルーを1回利用することで札幌へ飛ぶことができる(及びその復路も同様):クアラルンプール-バンコク( AirAsia 便)、バンコク-札幌(Thai AirAsia X便)。なお札幌路線の運航開始は2015年5月初めです。
Intraasia 注:マレーシア人とタイ人の利用者だけでなく、北海道に住む日本人利用者もより容易にタイとマレーシアを訪れることができるようになりますね。
『続編・乗り継ぎ客のための ”経由飛行 (FLY-THRU)”の説明と案内』 をクリックして知識を得てください。
・基本運賃を値上げする
Intraasia 注:どの路線で、いつからという時期には言及していませんが、何気なくこの項目が掲げてある。燃費サーチャージが廃止されたことを喜んでいるわけにはいかなくなりそうです。
・費用削減措置として、地上業務とエンジニアリング部門を AirAsia Berhad のそれと統合させる。
・フライト乗務員数を現行の9人から8人に減員する。
・赤字路線である名古屋路線とオーストラリアのアデレード路線を廃止する。
Intraasia 注:既にこれは実行されました。
・改善を行う路線:上海、重慶、西安、パース
AirAsia Xグループの使用航空機数:2014年末時点で計26機
AirAsia X:22機(内 A330機は19機)
Thai AirAsia X: 2機
Indonesia AirAsia X: 2機
AirAsia Xグループの2015年末における予定航空機数 計31機
AirAsia X:21機
Thai AirAsia X: 7機
Indonesia AirAsia X: 3機
2015年中に増やされる機数の多くは Thai AirAsia Xが使用することになる。
【2015年中に計画していること 】 - Intraasia 注:確定ではない
Thai AirAsia X
成田路線の本数を倍増して週14便、大阪路線の本数を倍増して週14便にする。
Intraasia 注:成田路線は既に3月末から1日2便になっている、一方大阪路線の増便はまだ未定となっている。両路線とも倍増された暁には、タイと日本間のフライト本数はすごい数となる。日本人のタイ訪問者は昔からマレーシア訪問者より多い、タイから日本を訪問する人はマレーシアから日本へよりも多い、といった事実を考えると、それなりに納得はいきます。ただ残念ながら、マレーシアと日本間では当分増便、路線新設はなさそうです。
Indonesia AirAsia X
メルボルンを含むオーストラリア路線の開設、日本路線の開設。
Intraasia 注:Indonesia AirAsia X のハブはバリ島です。最初の路線であるバリ島―メルボルン路線は2015年3月18日から運航を開始したばかりです。4月から増便される。 このニュースは当ブログで既に掲載しました。
バリ島―台北路線が2015年3月下旬から週1便で運行開始する。その後増便される。
こういう既定計画を考えると、バリ島―日本路線の開設も現実味がありそうです。 Indonesia AirAsia X 経営陣に期待しましょう。
2015年4月中旬の追記:タイ AirAsia X 札幌路線の予約販売停止について
当サイトでも既報しているように、Thai AirAsia X のバンコク-札幌路線は2015年5月初めに飛行開始する。しかし突如 AirAsia サイトでは7月以降の予約は受けつけない状態になった。これまでに予約購入した利用者だけには予約取り消しのお知らせが送られたことだと推測される。
いつもながら AirAsiaサイトのどこにもこの種のお知らせを載せていない。突如路線廃止する場合または路線開始が遅延する場合、 AirAsia サイトはそのお知らせを載せないことがほとんどだ。予約購入した利用者だけにその旨のメールを送っているようだ。
つい最近のインドネシア AirAsia Xのバリ島-メルボルン路線開設も、事前の宣伝と予約販売開始が始まった後で、突如予定通りフライト開始できない事態となり、予約販売がしばらく停止された。実際に初フライトが飛んだのは2015年3月に入ってからであり、当初の予定より数か月遅れたわけです。
この時も AirAsia サイトを見る一般利用者にはバリ-メルボルン路線の予約販売が突然停止されたいきさつはわからなかった。
路線新設は大きく宣伝するが廃止と開設遅延は予約購入者以外にはほとんど知らしめないという AirAsia のこのスタイルは、独善的あり方だと評せざるをえない。
AirAsia / AirAsia X の日本人利用者はこういう点もある程度心得ておきましょう。
AirAsia X の機内写真、座席説明などについては 『AirAsia の座席選び(座席指定)と座席配置図に関する基本知識 - 最新版』 をクリックしてご覧ください。
- 関連記事
-
- AirAsia と系列会社及び AirAsia X の2014年第3四半期/ 9か月間の業績 (2014/11/23)
- AirAsia X グループ 3社の企業情報と2015年の計画 (2015/03/20)
- AirAsia X の 2015年第1四半期の業績速報 (2015/06/08)