週刊誌日経ビジネスの激安航空会社特集を読んで思ったこと

日経新聞で、週刊誌 日経ビジネスが格安航空の特集をしているという広告を見ましたので、週末に図書館でその日経ビジネス 2011年1月17日号を手にとり、「激安航空 LCCで日本が変わる、 アジアマネー3兆円を呼び込む救世主」と題された特集記事をざっと読みました。

ということで、この特集記事を読んだ感想を書いておきます。なぜならこの記事は日本人の捉える格安航空像をよく示していると思われるので、その捉え方に欠如している大事な点を、当ブログを訪れる方々に知っていただきたいという希望もあるからです。

【エアアジアがマレーシアの航空会社であることが知られてきたことは喜ばしい】


大手ビジネス誌が特集をするというのは、エアアジア (AirAsia)X の羽田就航によって、格安航空への注目が一般にも広がっているということなんでしょう。他にも格安航空のことを特集した雑誌などがこれまでにもあったことでしょうが、イントラアジア (Intraasia)は日本のマスコミ報道の内容を細かく追っているわけではないので、日経ビジネス誌で特集されているのを今回たまたま知ったというところです。

まずこの特集記事ではエアアジア (AirAsia)Xが一番多く言及されていたのは、マレーシアを伝えるものとしてはうれしいことですね。 東南アジアではもう7,8年もの間飛び回り、知名度も高いエアアジア (AirAsia)が、ようやく日本で「エアアジア (AirAsia)はマレーシアの航空会社である」 と報道されて、少しづつ知られてきたことを喜ばしく思います。エアアジア? タイの会社じゃないの、なんて、悲しい理解がついこの間までありましたからね。

【エアアジアは低コスト航空会社である、その通りです】

まず日本人に知っていただきたいことは、エアアジア (AirAsia)は格安航空会社である前に徹底した低コスト航空会社(略称で LCCと呼ばれています)であるということです。このことは当ブログを始めた際に、3回にわたって詳細に説明してありますので、当ブログの過去記事をお読みになっていない方は、2010年10月末から3回続けて載せた 【格安航空エアアジア(AirAsia)は徹底した低コスト航空会社である】及び【エアアジア(AirAsia)の簡素且つあっさりサービスは低コスト航空会社だからこそ意味がある】を是非お読みくださいね。

イントラアジアがこれらのブログ記事で説明したことを知ってもらわないと、なぜエアアジア (AirAsia)はこれほどまでに急成長しマレーシアさらに東南アジアという枠を超えて拡大したかがわかってもらえません。まさにその典型がこの日経ビジネス誌を書いた記者(専属なのか外部ライターなのか知りませんが、それは重要ではない)の捉え方です。

日経ビジネス誌の特集記事は、エアアジア (AirAsia)は低コスト化を徹底した航空会社であるという捉え方をしています。マレーシアなどでは、低コスト航空会社(Low Cost Carrier) と呼ばれているように、確かにそうであり、その点においては間違いありません。しかしそれはある現象面を見ただけのことでもあります。

【エアアジアの大成功の理由は、単に低コストだけだからではない

エアアジア (AirAsia)がマレーシア国内で及びちょっと遅れて近隣国間とを結ぶフライトでそのビジネスを成功させたのは、マレーシアなど東南アジア一般にある国民・民族気質が大いに貢献したからなのです。

当ブログの過去記事から一部引用して再度強調しておきます。

「マレーシア社会は日本社会と違って、過剰ともいえる表面的礼儀正しさとくどいまでの言葉上の丁寧さを求めません。新航空会社の簡素なサービス、ごくありきたりの対応スタイル、それがそれまでのマレーシア人の捉える航空会社常識からはずれていても、受け入れるだけの下地がマレーシア社会にあるのです。

このことは非常に重要な点であり、エアアジア(AirAsia)がマレーシアでビジネスを開始したことが最大の貢献になったのです。なぜならマレーシアでビジネスに成功しなかったら、同社のその後の近隣国への進出はありえなかったし、ましてや長距離格安便である AirAsia X の創立もなしえなかったからです。仮に乗客の対象が日本人であれば、いくら運賃を安く設定してもあれほど簡素なサービス、ごくありきたりの対応スタイルは、恐らくまず受け入れなかったことでしょう。」
以上11月14日付けの記事から抜粋。

エアアジア (AirAsia)が本拠地空港をクアラルンプール国際空港メインターミナルから LCCターミナルに移した(2006年3月)頃からしばらくの間、LCCターミナルは、現在の立派なLCCターミナルからは想像もできなほど、簡素で狭く使い勝手の良くないターミナルでした。おまけにクアラルンプール市内から遠く、バス便しかないという公共交通面での不便さ。

イントラアジア (Intraasia)のホームページでは LCCターミナルオープン当時に写した写真を数年間掲載していたのですが、もう削除してしまったので、それをお見せできないのが残念です。

【LCCターミナルは2009年にかなり向上した】

そのLCCターミナルもその後少しづつ整備され、さらに2009年には建物の大幅な増築が行われて、国際便用の検査場が別棟に移りその2階部分に独立しました。国内と国際便出発ロビーも倍以上に広がっています。こうして現在のようなほとんどの空港サービスが得られる LCCターミナルになったのです。さらにターミナルビル外には24時間営業の広く冷房完備の食堂兼レストランがあります。クアラルンプール市内とを結ぶバス専用乗り場もできました。その他カフェ、大きなコンビニ、ファーストフード店、カフェなど揃っており、低コスト航空会社専用ターミナルとしては、それなりに十分だと言えます(もちろん不満点や不十分な面もありますよ)。

イントラアジア (Intraasia)のホームページで載せている、クアラルンプール国際空港(KLIA)ページ項目にある【格安航空専用ターミナル LCCターミナル】部分の写真をご覧ください。

【ビジネス誌の記者に東南アジアの基本的知識と経験を期待しても無理だけど・・

かなり向上した現在の状態なら、低コスト航空会社専用ターミナルとしてはまあ十分であるはずなのですが、日経ビジネス誌の記事では次のように書かれています。

「近代的でブランド品の免税店が多いメーンターミナルとは対照的に、LCCターミナルでは低価格の大衆向け飲食店が目立ち、雑然とした雰囲気だ。建物も簡素で利用客でごったかえす内部は体育館のようにだだっ広い」
以上引用部分。

マレーシアはもちろん東南アジアの基本的知識と体験を持たない人が書いた記事であることがよくわかります。日経ビジネスという日本の主要ビジネス誌ですから、記者が東南アジアの大衆事情や大衆意識に通じていることなどとても期待できませんが、”マレーシアのプロ”としての立場から言えば、もう少し事情を調べればよかったのに、理解する必要はないけど知識を得てから書いて欲しかったな、というのが本音です。

大衆的な東南アジアの雰囲気は日本人から見れば常に”猥雑”なのです、そしてその猥雑さがたまらなくいいのであり、魅力なのです。(シンガポール空港にはこれが感じられない!)

現在の低コストターミナル(LCCターミナル)の状態は、東南アジアの他国にある大都市空港、具体的にはカンボジア、ミャンマー、ラオス、ベトナム、と比べてみれば、建物、設備、サービス面で相当程度凌駕していますよ。この4カ国には格安ターミナルというものは存在しませんから、全て通常ターミナルです。さらにLCCターミナルは、ジャカルタとバリの空港を除いたインドネシアの大都市空港よりも良いといえるほどです。フィリピンを除く東南アジアの中で、シンがポール空港とバンコク空港、それにクアラルンプール国際空港の通常ターミナルは例外的な存在なのです。

日経ビジネス誌は続けて書く、「アクセスが悪く、施設やサービスが簡素なのは空港に支払う使用料を抑えるために、あえてそうしている面がある。いわば、コスト削減の一環だ。」以上引用部分。

前半部分の理解が間違っています。クアラルンプール国際空港LCCターミナルのアクセスが悪いのは、エアアジア (AirAsia)側が望んだわけではありません。それどころか場所の不便さに不満を隠していませんでした。だからこそエアアジアは当初本拠地にしたスバン空港(旧クアラルンプール国際空港)第3ターミナルからの移転を好まなかったし、その後も第3ターミナルに戻りたいとの意向を表明していました。 

そしてエアアジア (AirAsia)経営陣は2008か9年かな、あるマレーシア大企業と組んでまったく別の地に低コスト航空会社専用空港を建設する案をマレーシア政府に唐突に提示しました。政府はそれを却下しましたが、LCCターミナルの増築化を急ぐことにし、さらに2012年には、クアラルンプール国際空港メインターミナルから遠くない且つ並び状態になるような場所に低コスト専用ターミナルを完成させることを、約束し表明したという経緯があります。

【エアアジアが今日あるのはマレーシアで発足したからなのです】

そもそもクアラルンプール国際空港の LCCターミナルは、本来は貨物ターミナルになるはずだった場所に安普請で且つ急いで建てられました。そのため数々の使いにくさを当初から多くの利用者が訴えていました。イントラアジア (Intraasia)もほぼ同じような意見でした。でもそれはそれとして、イントラアジア (Intraasia)は何回も利用していました。

何よりもエアアジア (AirAsia)はあくまでも徹底した低コスト航空会社として生まれ、それを売り物にして成長してきた会社です。快適さは十分なくてもまず安いこと、それが第一で且つ絶対条件でした(大成長した今でも基本は同じです)。

格安航空は単にサービスを簡素化するだけでは大成功、大きく成長することはできません。利用者の増大が必須です。マレーシア社会には、あれほど安普請で使い勝手の良くない状態が数年間続いた改造前の LCCターミナルでも、利用者は増大に増大を重ねたのです。それは利用者の中心がマレーシア人であって(次いでインドネシア人、タイ人が加わった)、枝葉末節的ともいえるような細かなサービスとみかけの丁寧さにこだわる日本人ではなかったからです。

低コスト航空会社に誰もが認める十分なる施設・サービスと十分なる快適さを求めることは、二律背反です、つまり両立しません。多少の不便利さ、不十分な施設・サービス、丁寧さの欠如などを飲み込む、意識が利用者側に必要なのです。

低コスト航空会社が格安航空会社であるためには、なによりも料金が格安でなければなりません。その他は妥協の範疇です。以前に書いた一節を再掲載しましょう、「航空会社はとにかく安全に飛行さえしてくれれば、あとは大抵のことは妥協しましょう、我慢しましょう、これがイントラアジアの考える格安航空会社のあるべきモデルであり、エアアジア(AirAsia)はかなりの程度までそのモデルに近いといえます。」

このことが受け入れられない人は、通常航空会社を選べばいいのです。人には航空会社を選択する自由があります。

【格安航空の根本はまず安いこと、あとは妥協の範疇にすべきだ】


日本の航空会社は格安航空部門の立ち上げも考慮しているといった、ニュースを新聞で読みました。しかし日本で真のエアアジア (AirAsia)的格安航空会社が成功することは無理でしょうね、なぜなら日本人一般は、受けるべきと考える程度のサービスにこだわる気質と、日本的丁寧さの欠如を受け付けない気質を持っているからです。

本質的でないことに我慢できて本当に格安な飛行をしたい人が、どこでもエアアジア (AirAsia)の核になる利用者です。日本でこういう旅行者がどれだけエアアジア (AirAsia)の利用に向かうのだろうか、イントラアジア (Intraasia)は興味をもって眺めています。

日経ビジネスの記者や編集者さんにも当ブログ記事を読んでもらい、低コスト航空会社エアアジア (AirAsia)が成功した土壌と根本理念を知って欲しいものですな(はは、可能性はなさそうですけどね)。




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Author:airasia
マレーシア情報を1996年以来発信し続けている Intraasia のエアアジア専門ブログへようこそ! (2010年10月ブログ開始)
AirAsia が初飛行を開始した2002年以来、Intraasia はAirAsiaを観察し利用しています。

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