ANAとの合弁格安航空エアアジア・ジャパンの設立発表ニュースに思う

全日空ANAとエアアジアAirAsiaが日本基盤とした格安航空会社を合弁で設立し、資本金50億円の出資比率はANA 2 対 AirAssia 1の割合で、拠点空港を成田とする、というニュースを、日本のマスコミは単に業界ニュースとしてでなく目立つ形の経済ニュースとして取り上げたようですね。

エアアジアを2002年の発足以来追っているイントラアジア (Intraasia)としても、まずはうれしいそして驚いたニュースだといえます。そこで当ブログの主題とは直接関係ないですが、エアアジア関連トピックスとして、少し論じておきましょう。

合弁格安航空会社エアアジア・ジャパンは日本基盤ですし、ANAの出資比率がAirAsiaのそれの倍もあるという点から、同じAirAsiaの合弁航空会社であるタイエアアジアとインドネシアエアアジアとは結構違った特性を持つ格安航空になるのではないだろうか、とイントラアジアはこのニュースを知ったとき、まずこう思いました。

タイエアアジアとインドネシアエアアジアは限りなく本体のエアアジアに近いありかたと特性を持っています。それは同じ東南アジア基盤ということから、3国間に国民性と地域特性の面でそれほど大きな違いはないからです(ないということではなく、日本とマレーシアの間にある違いに比べれば、ずっと小さいということです)。

イントラアジアは、当ブログを開始した頃の記事『エアアジア(AirAsia)の簡素且つあっさりサービスは低コスト航空会社だからこそ意味がある』の中で次のように説明しておきました:

「エアアジア(AirAsia)のビジネススタイルと経営方針は、マレーシア人にとっても非常に斬新なものでした。それはマレーシア人の捉える一般的な航空会社常識から外れるものだったからです。それまでの航空会社の常識である機内サービスを全て有料化し、地上サービスを限界までに簡素化しました。

マレーシア社会は日本社会と違って、過剰ともいえる表面的礼儀正しさとくどいまでの言葉上の丁寧さを求めません。新航空会社の簡素なサービス、ごくありきたりの対応スタイル、それがそれまでのマレーシア人の捉える航空会社常識からはずれていても、受け入れるだけの下地がマレーシア社会にあるのです。

このことは非常に重要な点であり、エアアジア(AirAsia)がマレーシアでビジネスを開始したことが最大の貢献になったのです。なぜならマレーシアでビジネスに成功しなかったら、同社のその後の近隣国への進出はありえなかったし、ましてや長距離格安便である AirAsia X の創立もなしえなかったからです。仮に乗客の対象が日本人であれば、いくら運賃を安く設定してもあれほど簡素なサービス、ごくありきたりの対応スタイルは、恐らくまず受け入れなかったことでしょう。」以上


タイ社会もインドネシア社会も基本的にエアアジアのビジネススタイルをそのまま受け入れたことは、その後の各合弁会社の成功とマレーシア-タイ間及びマレーシア-インドネシアア間を運行するフライトの多路線多便さが示しています。

さて過剰ともいえる表面的礼儀正しさと極めて細かなことにこだわる日本社会で(注)、エアアジア本来のビジネススタイルがそのまま受け入れられることはまず無理でしょう。その前に格安航空会社は低コスト航空会社であることが絶対前提だという意味が、日本ではまだまだ理解されていないと感じます。ですから、一般使用言葉では、依然として”格安航空”であり、今回のマスコミニュースに対する反応を見ても、単にある都市からある都市までの運賃がいくらになるというコメント主体が多そうですね。

注:東南アジアに初めて足を踏み入れてから30年、内20年はマレーシア基盤であるイントラアジアは、日本に来るといつもこのことを、良い悪いではなく違いとして感じます。

低価格にするためには低コストでならねばならない、そのためには利用する乗客も低コスト化を受け入れなければならないし、同時にいろんな点で妥協する必要がある、という当たり前の論理が”実感”として捉えられていないことに気がつきます。しかしながら、日本人乗客に、東南アジア乗客のあり方を受け入れるべきだというのも非現実的です。日本社会には日本社会の価値観と許容範囲があるからです。

エアアジア・ジャパンは日本国内運行と日本基点での東アジア方面運行のようですから、当ブログで扱うエアアジア (AirAsia)、エアアジア Xの路線範囲と直接はかち合わないようです(間接的にはあるでしょうが)。

さらにANAの出資分が2倍ということから、エアアジア・ジャパンは同じ合弁航空でもタイエアアジアとインドネシアエアアジアとはかなり違った特性を持つであろうことが予測されます。あくまでも”日本的なエアアジア”というあり方になることでしょうし、一時的な成功ではなく長く存続していくためにはそういう方向性しかとりえないであろうと思われます。

まあイントラアジア (Intraasia)としては、エアアジア・ジャパンはエアアジア・ジャパンなりに成功していくことを願っておきます。それ以上は当ブログでは触れることにはならないでしょう。


それではエアアジア像の一端を紹介する意味合いとして、2011年7月15日付けでマレーシアの新聞に載ったエアアジア関連記事の1つを訳して載せておきます。

【新しい低コストターミナルはエアロブリッヂを設置できる設計になっている】

現在建設中の新しい低コスト航空会社用ターミナル、KLIA2という名称、でのターミナル設計において、エアアジアグループまたは他の低コスト航空会社からいつでも要求があれば、エアロブリッヂを設置することに対応できる準備はなされています。

しかしマレーシア空港持ち株会社(Malaysia Airports Holdings Bhd)が昨日発表した声明には次のように書かれています:
エアアジア側が荒れ模様の天気下でも、長距離便の場合でも、KLIA2ではエアロブリッヂを使用しないという決定したことを受けて、新ターミナルはエアロブリッヂを設置することなく建設します、その代わりに出入り通路が設けられます。
KLIA2ではAirAsia と AirAsia X が主たる航空会社になるので、もしエアロブリッヂを使わないのであれば、(我々空港会社が)その建設費用を負担するだけの価値がないことになるでしょう。
他の低コスト航空会社ともそれぞれの要求事項に関して話し合いを持ちます。


現在建設中のKLIA2は、旅客人数が(年間)3千万人まで取り扱える計画です。マレーシア空港持ち株会社によれば、航空会社と格安航空会社は各社それぞれビジネスモデルと要求事項が異なっており、同じではないとのことです。

その要求事項の一つに、航空会社が運行していく中でのエアロブリッヂの使用があります。エアアジアの説明によれば、同社のビジネスモデルでは、航空機利用度を高めるために飛行機ターンアラウンド時間を素早くする必要があります
「このことによってエアアジアは1日のうちにもう1区間を運行することができ、コストを減らして運賃を安くすることができるようになる。」とマレーシア空港持ち株会社は語る。

これはとりわけ短距離と中距離路線で良く機能します、しかしエアアジアXが運行しているような長距離路線ではそれほどでもありません。
そのためエアアジアは、航空会社にエアロブリッヂを使用する義務を定めたマレーシア空港持ち株会社の方針に対して、適用除外を認めるように申しいれていました。

エアアジアのビジネスモデルを支援するために、マレーシア空港持ち株会社は適用除外を認めました。それ故に、他の低コスト航空会社にも除外を適用しなければならなくなった。エアアジアはその適用除外を得ることで、エアロブリッヂを使わない選択をえました。
しかしながら実際には、マレーシアのエアロブリッヂが設置されている空港でエアアジアは、荒れ模様の天候下の場合エアロブリッヂを使っているのです。

東南アジアの他の国々のエアロブリッヂが設置されている空港では、航空会社は乗客の便利さと安全性と保安性を高めるために、エアロブリッヂを必ず使わなければならないと義務つけられていることを、マレーシア空港持ち株会社は指摘しています。

もし航空会社がエアロブリッヂを使わないことを選ぶのであれば、その会社の航空機は離れた場所に駐機させて、乗客をターミナルまでバスで運ぶようにすべきでしょう。エアアジアは次のように説明する:他の国々ではその空港で定められた規則などに例外なく従う義務があるので、エアアジアもエアロブリッヂを使わなければならない。

航空会社がエアロブリッヂを使う際に支払う使用料は現在1回 RM 85です。
(エアアジアの使用機種である)満席の乗客180人を乗せたA320機が出発時と到着時に使うとしてエアロブリッヂ使用料の費用を計算すれば、乗客1人当たり25セントに満たない額になります。

マレーシア空港持ち株会社の課すエアロブリッヂ使用料は東南アジアでは最安です。

マレーシア空港持ち株会社は、乗客の不便さを避けるために全ての航空会社がエアロブリッヂを使うように求めていることに関して、一般大衆からの意見を今後も聞いていくとしています。

Intraasia注:KLIA2 は現在のLCCターミナルとは全く別の場所に、新たに建設中のターミナルです。いずれ空港電車もメインターミナルからKLIA2まで延長されるという予定です。KLIA2が竣工するのは2012年の後半になるようですが、確定した月日はまだ発表されていないはずです。



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Author:airasia
マレーシア情報を1996年以来発信し続けている Intraasia のエアアジア専門ブログへようこそ! (2010年10月ブログ開始)
AirAsia が初飛行を開始した2002年以来、Intraasia はAirAsiaを観察し利用しています。

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